A2.新しい環境

  • 2019.06.12 Wednesday
  • 19:19

 愛教大というのは刈谷市の井ヶ谷というところにあり、南山や福祉大と違って田園地帯のとてつもない田舎にあった。いいことといえば校内のすぐ横に洲原池(わりと大きくて湖的)があり、ここは愛知県の花カキツバタの自然群生地で貸ボートもある風光明媚なところ。デートスポットとしてはぴったり!

 欠点は、田舎にあるため他大学とのアカデミックな交流が全くなく孤立していて通うのに非常に不便なこと。通学に2時間半以上かかったことがあったので、愛教大に戻って途中から下宿させてくれと頼んだ。毎日往復5時間以上のロス、これって大変でしょ?

 教育大に戻ったときは、3年生として戻ったんだ。但し、2年時に取得すべき単位はゼロ、そこで3年が受ける講義と必修科目を取得しながら落とした2年時の講義を空き時間全部に埋め込んだ。 人形劇部では一年時のボクのことを知っている人は全くおらず、南山で人形劇をやってたということも話さなかったので、人形劇のことを知らない新人の3年生として受け入れられたんだ。

 

 この人形劇部「むう」には問題があって、2年前まで1つの部であったのが2つに分かれた。そのきっかけになったのが前に話した神野という人物(民青という政治的な問題もあった)と4年ぐらい上になる杉本さんというOB。杉本さんは教育大を卒業した後、東京の芸術大学の大学院生として行っていた。教師になるというより、本物の芸術家を目指していたみたい。この杉本さんは、3年生の女子部員に絶大な人気があって東京まで人形劇団ひとみ座の公演を見に行くということで夏に、大勢で杉本さんの下宿にみんなで押しかけて泊まらせてもらったことがある。

 この杉本さんとはなぜか縁が深くて今でもボクとずっと交流を続け、絵の展覧会にどきどき誘われます。

 

 ひとみ座の公演はボクも見たんだけれどすごい衝撃を受けた。仮面劇という人形劇…人形の代わりに仮面を使い、布が胴体、手は白手袋でシェークスピアのロミオとジュリエットを題材とするものだった。最初の場面で仮面の男が馬に乗って現れるのだが、その馬と騎乗の男の動きがもう従来の人形劇も演劇も超えてあまりのリアルさに身震いがした。このひとみ座の人形劇は、むうの仲間に影響を与え、その後の人形劇の作品に反映されていく。

 

 朝の連ドラ「なつぞら」って見てる人いる?なつに新人ディレクタの哲学科の男の子が影響与えてるでしょ?「アニメはありえないことも本当のように見せること」「ありえない動きが本当の真実を描くことができる」

 連ドラではアニメが対象だけど、そのとき人形劇の表現がそれだって思ったんだ!2年生のウリドは演劇出身で人形劇は演劇を超えられないと考えてたんだけど、むすび座の仮面劇を見て完全に人形劇にのめりこむようになってしまった。

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