15.巡回公演の日々

  • 2019.05.26 Sunday
  • 19:35

 渥美半島の海岸線はまっすぐで長い。同じ海でも、渥美の海はスケールの大きさでレベルが違う。そこはまさに太平洋だからだ。押し寄せる波の高さもすごく、迫力があった。今では、サーファーたちが押し寄せるサーフィンのメッカになったが、この頃は人っ子ひとりいなかった。この巡回公演中、大自然のとなりにいて、ワクワクのしっぱなしだった。

 翌朝、ラジオ体操の音楽と子供たちの声で眼を覚ました。夏休み中の子供たちがラジオ体操をしに毎朝7時になると学校に集まってくるのだ。子供たちといっしょにラジオ体操をして、すぐに朝食、そして10時から始まる人形劇公演の準備にとりかかる。

 ところが、初日の公演が10時に間に合わなかった。慣れないので、朝食の準備に時間がかかりすぎたうえ、朝から昨日の子供たちが遊びに来て赤シャツとじゃれあっていたため、準備が遅れた。地元の小学生たちが楽しみにどんどん集まってくる。けれども、劇の準備がまだ済んでいない。急遽、チビタが即興で子供たちの目をそらすため、劇に使わない人形で時間を稼いだ。

 なんとか準備が終わり、15分遅れで劇は始まった。赤羽根の田舎の子供たちは、純朴で目を輝かせながらてのひらの人形劇に見入っていった。

 

 巡回公演の合宿生活というのは、想像以上に忙しかった。朝起きるとすぐ、ラジオ体操。そして朝食準備、学校を移動して公演、終わって帰ってくると翌日の講演の準備、反省会、そして翌日の食事の買出しと調理準備、寝るところを整えて就寝。

 巡回公演で拠点が学校というのは便利がいいもので、家庭科調理室があって、大きな鍋も炊飯器もフライパンもある。ただ、自分で調理するということができるかどうかだが、こんなときは下宿組が大活躍。みんなで交代で自炊となる。地元のお店にママやベー、ハンが買出しに行き材料を買ってくる。調理は意外にアシュラがジャガイモを使った料理がうまかった。初日の夕食は、おきまりのカレー。何てもぶち込んで煮て、ルーを入れれば出来上がりだからだ。

 

 午後、翌日の公演の準備が終わって、人形の準備で腰を降ろして屈んでいると、後ろからお尻をツンツンされる。振り返ると、昨日遊んだ子供のひとりが「カンチョー!」と言って笑っている。その子達がさらに友達を大勢連れてきて遊びに来ていたのだ。

「このーっ!」と追いかけると、赤シャツ、赤シャツとはやし立てて逃げ回る。遊んで欲しいんだなと思い、転げ回るように遊んだ。ユキコやアシュラ、ヨーコやくまちゃん、ビチも仲間に入れてみんなで遊びまわった。

 2日目の夕陽が広い海に沈んでいった。

 

コメント
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM