10.合宿の翌日

  • 2019.05.21 Tuesday
  • 17:30

 合宿が終わって、翌日午前中まで制作と練習があり、午後、三々五々の解散となった。帰り道、バス乗って帰ろうとバス停に向かっていくと、きもだめしでいっしょにアベックだったべーが一人でたたずんでいた。

 ベーは福島から南山に来ている。聞けばまだ、名古屋の街に慣れていないという。じゃあ、名古屋を案内してやろうということで栄方面に2人で出かけた。ひとしきり、デパートで買い物をして、栄のデパ地下の喫茶店でてんこ盛りのパフェを頼む。

 ベーには福島なまりがあり、福島弁で「・・・だべぇ?」とみんなの前で言ってしまってベーとあだ名をつけられた。他のみんなよりは口数が少ない。あまり、会話が弾まないまま、久屋大通公園の方に向かった。

 あれは、どこだったんだろう。大通公園を見渡せる丘のようなところのベンチに腰をかけた。

 ベーは朴訥な口調で、自分が育った地元の話、高校時代の話など少しづつ話しはじめた。「わたし、愛知県にきてしまって、今、ちょっと寂しいの!」ホームシックにかかっていたのだ。

 

 寂しいという言葉を受けて、自分の中にある心の空洞がうずき出した。「ボクにだって寂しいって感じることあるよ。孤独だと感じることもある」

 ベーを慰めるつもりで、寂しいのはベーだけではないよと言うつもりで、つい気が緩んで自分の高校時代の失恋大失敗をして寂しいことを話すことにした。他にうまく会話ができなかったせいもある。ちらちらと話し始めると…(この話は多分、ヨー君が10年以上前に私のHPを見つけ、前回のOB会でみんなに紹介したと思われる連続小説の話です。その内容はまた、いつか公開することがあるかも…お楽しみに!)

 ベーもだんだん話に乗ってくる。なんと2時間ほども長々と話してしまっただろうか?

 人の失恋の失敗談は面白いもの。ベーは目を輝かせながら、「それで…それから・・・それからどうなったの?」と聞いてくる。調子にのって、とうとう最後まで話して告白してしまった!名古屋の栄の夕暮れの夕陽がきれいな、たそがれどきであった。

 

 翌日、キャンパスでベーの姿を探した。気を許して一つの秘密を話したからか、急にベーに親近感を抱いてしまったのだ。自分の心の奥にしまっておいたうちの一つを話してしまったので、自分のことを理解してくれたと勘違いした。ところが、キャンパスで会おうとするんだけれど、なかなか会うことができない。会っても、なぜか避けられているような…ベーは逃げるように行ってしまう。

 合宿の後で、きれいな夕陽の沈む中であんなに親しく話せたのに…、心の隅まで話したのに…なぜか、ベーが自分を避けている。話しかけても2,3言葉を交わすとすぐに逃げるように行ってしまう。人の心というのは不思議なものだ。会って話そうとして逃げられると、なぜだかまた無性に会いたくなって話したくなる。

 

 10日ほど、そんなことが続き悶々とした。夜も眠られなくなった。自分がベーを好きになったのか?恋をしたのか?…いや、違う。そうじゃない、なんかおかしい! そのときの感情がなんだったのか、なぜ、ベーは自分を避けるようになったのか、よくわからない。

 今でも、福島県と聞くと【 胸がふっくらしてて意外にプロポーションのいいベー 】のことを思い出す。ベーは、今どこでどうしているんだろうか。東北の震災や福島のこと、テレビでニュースを見たりするとベーのことを思い出したりする。

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